■ 浜田川の水源に迫る
お待たせしました。っちゅうか、あんまり待ってる人はいないと思うけど、2006年5月の下旬、即ち、前回の1週間後に、浜田川を遡る旅の続編を敢行したのである。この1週間、気になって、気になって。夜も眠れないくらい。(笑)
これ読んでくださってる方は、何のために行くんだか、と思われるだろうが、どう思われても仕方が無い。実は私とて、そこまで熱意を入れることじゃないのでは、などとちょっぴり思い始めていた。その一方、推理小説の謎を解くための、あるいはインディー・ジョーンズのような冒険の旅に行くような気分にもなっていた。いずれにしても、恋しくて、恋しくて、ここにやってきたのである。
さて、前回のおさらいをしておく。1週間前、浜田川の水源を求めて、幕張から自転車をこぎこぎ、実籾高校(下の地図参照)の校舎が見える地点まで田園風景の中を進んだ。残念ながらそこで仕事が入って断念したのだ。その地点が下の地図(G)のところだ。その辺りは、実籾田地区というらしい。
今回もまた前回とほぼ同じルートをやってきた。轍(わだち)があり、昨日降った雨でところどころに水溜りのある川沿いの道は走りにくかったが、それでも幕張から武石インターに行く道よりは、安全だし、健康にも良さそう(?)なので、こちらのほうが、ベターである。右上の写真はその(G)の地点の近くにあるポンプ小屋。なんか風情が漂っている。
道路行政の話にちょっとだけ触れるけど、武石インターから実籾の駅に通じるメインの道は、歩行者やj自転車に優しくないね。いや、優しいとかそういうヤワな問題じゃなくて、いつクルマにひき殺されてもおかしくないくらい危ない道だよ。路肩の幅が20センチくらい。前から誰か来たらどちらかが車道にはみ出さなくてはならない。県内にはそんな道がまだまだたくさんあるだろうし、他県にも凄いのがごろごろあるんだろうけど、税金の使い方、あるいはその優先順位が間違ってないか?
しかも、あの道、まだまだ渋滞がまったく緩和されていない。10年も20年もかけて拡張工事やるんじゃなくて、さっさとやってくれ〜!
と、遠いところから叫んでも仕方ないか。ま、とにかく、その前回行ったところまで、なんとかやってきた。もう一回言うと、そこが(G)の地点である。小さな橋があり、そこから実籾高校の校舎が見える。
初めてこの「浜田川を遡る旅」をご覧になる方は、おそれいりますが、「浜田川を遡る旅(その1)」からご覧ください。 |
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■ またもや地図の説明
地図見るのが好きじゃない人には酷かもしれないけれど、だいたいこの旅(旅って言ってもいいかな?)に地図が無いと、マイナーな場所ばかりなので、いったいどの辺りのことか分からないと思い、地図を多用するのである。ごめんなちゃい。ちと時間が出来たときに、ヤフーの地図の流用じゃなくて、ちゃんとオリジナルを描き起こしてはみたいと思う。
この地図の説明なのだが、まず、今回の出発点が(G)。前回の終点も(G)である。ここまで来るのには、この地図の下のほうからで、こぼこ道を自転車で走ってきた。(はあはあ。)
で、まず(H)の地点に川沿いの道を移動する。後術するけど、実は、この(H)の地点でまたもや川は地下に潜ってしまうのであった。そして、その川上に当たる実籾本郷公園(え)の地下を流れているようである。つまり行方不明になる。くそぉ〜!
とりあえず、一旦休憩。実籾本郷公園でくつろく。園内には水源となるような池などがある。しかし、水源はそこではない。地図を見ると、この先にも続いている筈なので、一息入れたら、再スタートである。 |
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■ 川が消えた!
(G)から(H)の地点への移動は比較的楽だった。割合クルマも走っているのであろう。下草もそれほど長く延びていなかったので、ズボンの裾を汚すこともなかった。川は実籾高校のグランドに突き当たった。道は左右に分かれている。
写真でお分かりになるように、川はまたしても地下に潜ってしまうのである。(H)の地点である。正面のネットが張ってあるところは実籾高校のグランドで、野球部員が熱心に練習していた。まさかグランドの中をまっすぐ進むわけには行かないので、この後、やや右に曲がり、すぐさま左に折れ、グランドに沿って進む。
(H)の地点だが、多少位置が違うかもしれない。なんせアバウトなもので。
(H)地点から下流の方向(つまり(G)の方向)を眺める。ご覧のように川幅と水量は前回の京葉道路と交差する辺りと殆ど変わらない。水深は20センチくらいか。比較的透き通った水越しに川底の藻が見える。
この辺りは、田園風景ではなく、草ぼうぼうの荒地といった感じ。左右の丘も迫ってきていて、平坦な部分が少ない。向こうに見えるビルの右側がが幕張ハウス。そして、左側になんとベイタウンのパークタワーが見える。300mmの望遠で撮影したので、割合近く感じる。
まあ、それにしても、この川があのマリンスタジアムの隣を流れている川と同じだなんて、ほんと、不思議だ。川の始まりも雨粒1滴から、なんてことを考えつつ、更に水源を求めて遡る旅は続く。
といっても、川はいったいどこに消えたのだ。 |
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■ 川はいったいどこに消えたのだ!
実籾高校のグランドを巻いて、反対側に出る。と、マンホールの蓋のようなものはあり、たぶん川はその下、つまり川は地上に露出していない。地図だと、露出しているように描かれている。通常、地下を通る水脈などは破線で描かれている。ということは、最近まで露出していたのだろうか。いいや、そんな感じじゃない。いったい、いつから地下に潜ってしまったのだろう。
いずれにしても、地図が更新されていない。面倒だからか。ま、それはいいとしても、更新されて、破線になっていてもいいけれど、まったく地図上から消えてしまうと、今回の水源探しの旅が、アクション(実行)までに至らなくなってしまうところだった。
その地下道の入り口から川上の延長線上には、広々とした公園がある。まずは、公園内を探して川を発見することにした。公園へは、坂道を登るので、ちょっと疲れる。
公園の名前は、習志野市立実籾本郷公園という。いつの間にか千葉市から習志野市へ越境したことを知る。ん〜、でも、前回の時も実籾田地区っていうところにいたわけだから、習志野市にいたわけだ。なるほど、と今更ながら実感。公園内をカメラを持ってうろつく。
広くて、気持ちの良い公園。大きな藁葺き屋根の鴇田家住宅も展示されている。かなり大きな家だ。
上は、公園内に設置されている案内図。右のほうの青い部分が池である。しかも、その池は明らかに消えた浜田川の延長線上にある。
その問題(笑)の池。上の写真の右は、人工的なせせらぎになっている。おそらくこの池の水もどこかにある排水口から地下の浜田川に流れ込んでいるに違いない。それがどこなのか分からなかった。いや、地図を見る限り、ここが水源じゃなくて、更に奥地へと誘う(いざなう)かのようにはっきりと描かれているわけで、こんなところでいつまでも休憩しているわけにはゆかない、と意を決したのである。
でも、いい公園なので、また機会があったら来てみよう。 |
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■ 実籾駅の周辺を探索
公園を後にして、まずは地図の(か)の踏切の辺りへ行ってみた。その辺りは起伏が激しい。少しだけ汗をかく。そして、辺りをきょろきょろしながら川を探す。見つからない。そして、今度は方角の目測を誤り、実籾駅のほうへ行ってみる。地図(お)の辺りだ。どうも川のある気配はまったく無い。一旦踏切まで戻る。
左が(か)の踏切。この道では、一番低くなっているので、川が流れているとしたら、この近辺の筈なのだが・・。因みに、左のほうは京成大久保、右に行くとすぐに実籾の駅である。右の写真がその実籾駅。(お)の辺りで撮影した。かまぼこ型の建物が実籾駅舎。ミラノ駅のようだ。行ったことないけど。
左は、駅周辺の住宅地。このように起伏が多い。というか、この周辺は平らな場所が殆ど無いんじゃないかというくらいの土地なのである。下総台地という感じ。右は、またもや実籾駅。今度は駅の北側(ロータリーの側)から回り込んで行ってみた。地図(き)の場所である。
結局、川は見当たらない。地図では露出しているかのように描かれていたのに、まるで詐欺に遭ったような気分になってきた。そもそも、こんなところまでわざわざ自転車で来ること自体、ヤバイんじゃないかとさえ思い、急にばかばかしくなってきた。自販機で、ダイドーのブレンドコーヒー(缶)を買って、自転車に跨りながら飲み干す。
一息つくと、また考え方が変わるもので、せっかく来たのだから、もうちょっと探してみるか、と思い直した。再び、自転車に乗って、適当にぶらぶら走った。ぶらぶらといっても、起伏が激しいので、時には汗をかいてしまう。
■ 見つけたそ、浜田川ちゃん
そして遂に橋のようなものを発見した。地図の(I)の場所である。地図を見るとちゃんと川(細い一本の罫線だが)が描かれている。間違いない、ここだ。ここだ。でも、実際には川は露出していない。川の跡のようなものがある。うーむ。どうやら川は地下に埋設されたらしい。
となると、実籾高校のグランドの下から、ずっと川は地下にあるわけだ。こりゃ、相当長い距離だよ。
左: |
ほら、ここ、ここ。橋でしょ。これ。道の左右と中央にガードレールがある。中央のガードレールは意味不明。それほど広くない道なのに。 |
右: |
その橋(?)の上から川下だと思われる方向を見る。立ってる位置と殆ど段差が無い。つまり、完全に埋め立てられいる。右側が民家、左側がクルマがたくさん駐車しているけど、道になっている。 |
ついにやった!浜田川だ。ね、ね、上の写真(右)、どう見ても元々は川だったって感じでしょう??
左: |
今度は川の反対側、つまり川上側を見る。こちら側は、ちょっと川という雰囲気じゃないけど、民家がこの川を避けるように両側にフェンスを設けていることからも、ここは川だったことに違いない。誰かに尋ねてみたかったけど、どうやって訊いたらいいのか躊躇してしまう。 |
右: |
一旦現場から離れて、遠めに見てみた。写真では分かりにくいだろうが、川に沿って家が並んで建っている。向こうの緑の丘のすぐ手前の辺りだ。 |
■ そして目標達成!!
水源は近い。はやる気持ちを抑えるのに苦労した。あの川口ひろし探検隊の気持ちがわかった。そこまで言うと大げさか。せめて、「関東甲信越小さな旅」くらいかな。あるいは、滝口順平がナレーターやっていた「バスの旅」くらいか。最初、松尾伴内やつまみ枝豆も出ていたけど。彼ら、最近見ないな。
とにかく、この辺りが浜田川の源流なのだ。かつて、神田川の水源が井の頭公園であったり、妙正寺川の水源が妙正寺公園だったり、石神井川のルーツが石神井公園だったりと、地図で調べて、実際に歩いてみた経験も蘇ってきた。そうなのだ、私は水源マニアなのかもしれない。いや、それほど熱を入れていたわけじゃないけど。(笑)
私はその川(浜田川)の痕跡をトレースすることにした。が、ちょっと歩き難かったので、(I)地点から、一旦回り道をして、少し先のところから川に下りてみることにした。地図(J)の少し手前、(く)の地点に自転車を止めて、川に下りた。この辺りは歩きやすかった。(く)では、原住民を発見したので、写真に収めた。
左: |
この方が出会った原住民。「あなたは、この近辺が浜田川の上流だったということをご存知でしたか?」と聞きたかったけど、やめた。彼は、私が写真撮っているときには知らんぷりしていたくせに、私が立ち去ろうとすると、もっと写していいよ、みたいな素振りを見せた。クセになるので、私は撮るフリしただけ。 |
右: |
ご覧ください。いかにも川でしょ?というか、もうまったく路地のようになっているが、ここから、徒歩で、この川の水源に向かっていざ出発なのだ!! |
左: |
前方、急カーブしているところが(J)の地点である。結構人が歩いている跡もある。この辺りの住民の生活道路になっているのだろう。 |
右: |
(J)地点から家の3軒くらいの距離のところで、視界がぱっと開けて明るくなる。しかし、まっすぐ進むのは気が引けるくらいの草がぼうぼうと生えているので、右側のほうにあるまともな道に上がった。正面の赤いバケツが置いてある辺りは自家農園みたいになっていた。 |
左: |
川を左手に見ながら、先回りをして、川下を見る。ところどころに針金で柵がしてあって、中に入ることが出来なくなっている。 |
右: |
そして、前方に再び川が露出している場所を発見した。金網で覆われている水路がそうである。長らく会ってなかった恋人に再会した気分で、私は走り寄った。地図(K)のやや東側の地点である。右側にもフェンスがあるが、ここはテニスコートで、「習志野実籾テニスコート」というらしい。 |
やっと浜田川が顔を出したのだ。そして、いよいよクライマックス。
もう少し行ったところ、ここは(K)地点。ご覧の通り、幅1m50cmくらいになり、それでもちゃんと水が流れている。もっとも水量は心細いけれど。この先、前方で90度右に折れ、そして、小高い山のふもと(テニスコートの入り口近辺)で、ついに土管になって地下に消えてしまう。どうやら、この辺りを水源とみていいようだ。地図上に描かれている水路もこの辺りで消えている。
とうとう、やった。頭の中には、何故かロッキーのサビの部分で流れてくるアップテンポの曲が鳴っている。あるいは、インディー・ジョーンズのテーマか。川口浩探検隊だったら、ここでスタッフを抱き合って喜ぶところであろう。が、しかし、なんか消化不良でもある。例えば、神田川の水源が井の頭公園だったり、花見川の水源が印旛沼だったりと、水源らしい湖沼くらいありゃいいのに、なんにもないのだ。あるのはテニスコートだけ。うーむ。
折りしも、夕刻の井戸端会議が私が突っ立っているすぐ近くで始まった。お子さんが幼稚園に通うくらいの若いママさんたちが5〜6人で談笑している。「あのぉ、この水路なんですが、下流は幕張メッセの脇を流れている浜田川ということをご存知でしたでしょうか。」と、質問してみた。うそ。実際には、「なにそれ。」というくらいにしか反応が無いだろうと思って、やめた。あるいは、嫌な顔をされるに違いない。きっと、その周辺に住んでいて、この近辺が浜田川の水源だと認識している人なんて誰もいないだろう。ちと、勇気を振絞って訊いてみるべきだったかも。
川の延長線上であろう方向(山になっている)に、たまたま登る道があった。せっかくここまで来たので、そちらに行ってみた。水源の周辺を俯瞰できるかもしれない。ワンちゃんを散歩させているおっさんの後をつけていった。少し登ったところから上は住居がへばりつくようにたくさん建っていた。それが、(け)の地点。
左: |
少し登ったところから見たテニスコート。テニスコートとか、浜田川は、今登っている山と向かいの山のちょうど谷間になっていることが分かる。つまり、かつての浜田川は谷川だったのだ。うーむ。 |
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右: |
更に高いところに移動する。たぶん(こ)の地点。写真だとわかりにくいけど、この近辺が沈降したら間違いなくリアス式海岸になるだろうと思うくらいに地形が入り組んでいる。即ち、浜田川は、この辺りの高低差のある地形が生み出したものなのである。今、私が立っている高台の地下の水や、雨水が流れて、そして、それらが集まって川になったのである。 |
と、無理やり結論に持っていってしまう。図々しいか。
とうとうと沸く泉とか、神秘を湛えた湖とか、そういうのをちょっとだけ期待していたので、残念だったが、一応、目標達成。幕張新都心で見るアーバンな川の、最初の一滴がこういう場所からだ、というのを知っただけでも意味がある。大河もまずは一滴から、と思うと、改めて自然って凄いな、と思うのである。大げさか。いや、そのくらい感動してもいいじゃないか。
最後に、浜田川の水源近辺の写真との落差を皆様にももっと感じて頂きたく、新都心近辺の浜田川の写真をまとめてみたので、そちらもご覧ください。
>>> 「浜田川を遡る旅」(新都心を流れる)
では、皆様、またお会いしましょう!
(2006/5/30 Zaki) |
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