昨年から、旅行らしい旅行を一度もしていない。ひとつには、2〜3日離れてしまうと、とんでもないことになってしまう仕事を抱えていたことと、息子の(少年)野球が毎土日に入っているからである。まあ、覚悟していたとはいえ、仕事以外で県外に出ることが皆無になっているのも寂しいものだ。ならば、せめて県内の日帰り旅行でも、とは思うものの、それでも、たまにぽかっと空いた休日は、実家(木更津市)で過ごすことになる。
実家は、二束三文の土地だけど、山林を所有している。実家から10キロは離れている場所だ。木更津のかずさアカデミアパークなどを越えて、緩やかな山を越えて、君津市戸崎というところ。近くにはベイタウンで販売されている清酒「ゆびきたす」の醸造元である宮崎酒造がある。風光明媚って言えば聞こえはいいが、単なる田舎だ。決して馬鹿にしているわけではない。単なる田舎というのは、素晴しいという意味で言っている。山があって、田んぼがあって、ちょこちょこっと民家があって、でも、他にはなんにもない。
そう、ご覧の通り、素晴しい景色なのだ。上の写真はその戸崎の宮崎酒造の近辺から撮った写真。広々とした田んぼの向こうには山々がある。写している側も山のふもと。即ち、盆地になっているのだ。向こうの山の手前に、小高い丘のようなものがある。木々が連なっているところ。そこには川が流れている。川の名前は小櫃川(おびつがわ)。ちょっと変わった名前だ。
この川は亀山ダムのほうから流れてきて、そして、久留里、小櫃と経て、横田の辺りでほぼ90度曲がり、東京湾へと注ぐ。河口は盤州干潟といって、自然の宝庫。東京湾で唯一という自然の干潟なのだ。かつて県立木更津高校で教鞭をとっていた藤平先生が、その干潟の調査や「干潟まつり」なるイベントを仕掛けている。藤平先生は、私の恩師でもある。久留里の藤平酒造の一族だ。久留里は城下町で、風情がある。今度行ったら、久留里の写真でも撮ってこよう。
話を元に戻す。山林を所有していると、金持ちっぽく聞こえるかもしれないが、実際にはまったくその逆。思い切り経費がかかる。一番の経費は、なんといっても忙しい中、わざわざ行って一日中草刈りをしなくてはならない。2006年5月5日。ビッグなGWで世間はやれ海外旅行だの、やれキャンプだの、って大騒ぎしているときに、私は、こんな田舎に来ていたのである。(泣)
伸び放題の草を相手に格闘し、汗を流し、ペットボトルのドリンク(以前は缶ビールと相場は決まっていたのだが・・・)をぐびぐびやって、ふうっとタメイキをつく。蛙の鳴き声がそこらじゅうからして、まあ、これも悪くないかな。いや、最高だ。ストレス発散になる。ここに来るときには、必ずといっていいほど、息子を連れてくる。前述の通り、野球がお休みのときしか一緒に来れなくなってしまっているが、それでも山の中で野生に戻るというか、元気に跳ね回っている。 |
夕刻、息子のアイスクリームを買いにコンビ二に行った。本来だと、山を少し下ったところにある「よろず屋」があって、親父の代から我が家ではご贔屓にしている店だから、そこで用は足りてしまう。今回は、「クーリッシュ(」ちゅうちゅう吸うタイプのやつ)がいい」っていうもので、その戸崎から4キロくらい離れたところにある国道沿いのコンビにまでわざわざ行ったのだ。小櫃川を越え、久留里線の小櫃駅を越えたところのセブンイレブン。おそらく最近出来た感じだ。小櫃駅の周辺にもちょこちょこっと店があるが、割合交通量が多い街道沿いで、クルマを止められないので、鴨川、久留里方面からの行楽帰りのクルマが立ち寄るのは厳しい。だから、どんどん駅前は寂れてゆくような感じだ。 |
上の写真はアイスを買って、駅のホームで食べたときに撮ったもの。もちろん、無人駅で誰もいない。しかも、約20分ここにいたけど、電車が来る気配はまったく無かった。左側のベージュの壁の建物が駅舎。中は六畳一間ってな感じで、小さい。おそらくマックスで10人は待たないないのだろう。
右の写真は、その駅舎の正面から。立っているのは私の息子です。
小櫃駅は、観光地でもなんでもないし、お隣の久留里よりも殺風景なので、案外穴場(なんの?)かもしれない。駅舎の前のベンチでお弁当など食べながら、たま〜にやってくる2輌編成のディーゼル列車をウォッチングするだけで、デリシャスな休日かもしれない。
2006/5/8 Zaki |