昨夜は自宅マンションの屋上で、バンド友達のじゅん氏と飲むわ歌うわの大騒ぎ。超ハイテンションションから一夜明けた今日の日曜は、蒸し暑いながらもバイク日和。車検前のひとっ走りといこうか!
先々週の日記で、房総の山奥にひっそりと建つ山里の廃校を見つけたのだが、どうしてもまたその場所に行ってみたくなり、愛車を林道へと走らせる。養老渓谷付近は、林道や支線、廃道が迷路のように張り巡らされているので、ちょっと間違えると人っこひとり居ない山の迷宮に迷い込む。でも、ガソリンさえ切れなければ意外にどこかに出られたりするんだけどね。
かくいう自分も、何と肝心の地図を忘れてきてしまったので、昔走り回った付近の林道を思い出せない。案の定道に迷って雨上がりのグチャグチャでヌタヌタのドロ道や、深い砂利のダートを走破しながら、その小さな小さな集落をようやく発見。ここは君津市の福野というらしい。地図で見ても、周囲には恐ろしいほど何も無い、なんだか
秘境のような所だ。山々と森に囲まれたすり鉢のような地形の中、細い生活林道が2本だけ通っている。庭に古そうな大木が生えた立派な家もあるが、ほとんどが小さな古い家ばかりが数件並ぶ、小さな集落である。カッパが出そうな澱んだ池と、ほとりに建つ古い掘建て小屋も、庭にアゲハ蝶が舞う農家にも、不思議なほど人の気配が無い。もちろん、行き交う車も皆無。この集落は、どのように生計を立てているかと心配になってしまうほどの秘境だ。
そんな集落の中心部に、ひっそりと福野小学校跡がある。前回のツーリングで、幻を見たのかと思ったその廃校は、オール木造の小さな校舎やポツンとある百葉箱、白い木札に縦書きで記された「理科室」「家庭科室」の表示、狭い校庭の真ん中にそびえるあすなろの大木、使い古された遊具、窓からのぞく大きな柱時計、そして校舎正面に書かれた「力いっぱい」の文字と、どれをとってもまるで映画に出てくるセットのようなレトロな山里の学校である(写真ではその風情が全く伝わらないのが残念)。そこには、僕らのような世代が思い描く、幼少の頃の心象風景がある。そして不思議なのは、廃校になってからしばらく経っているらしいが、手入れが行き届いて比較的キレイな状態で残っていることだ。その姿を、前回のツーリングではできなかった撮影をしておきたく、この“約束の地”へと再びやってきたのだ。
福野集落から林道を走り繋ぎ、養老渓谷へと向かう。途中、脇道で
石窯焼きのパン屋兼レストランを発見。最近、とんでもない田舎に店を構えるこだわりパン屋をよく目にするが、ここの店構えも魅力的。残念ながらパンは完売だったが、また来てみよう。
この季節は、天候が変わりやすい。田舎の県道を走っていると、見る間に雲行きが怪しくなり、大粒の雨に打たれる。夏の夕立は夏のニオイ。ホコリっぽいような懐しいようなニオイの中を大粒の雨に打たれて山間のワインディングを走り、海沿いの国道に出ると、すっかり晴れ上がり、蒸し暑い夏の太陽が鈍く照りつけていた。明後日の七夕も晴れるだろうか。