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鷺沼温泉
国道14号線から、狭い路地をちょっと入ったところ
朽ち落ちそうな古びた銭湯である
ベイタウン旅行倶楽部
[ベイタウン周辺INDEX





樋ノ口弁財天の入り口。隣がセブンイレブン。
奥に鷺沼温泉の煙突が見える。
土曜日の夕刻、息子と二人で鷺沼温泉に行った。実は、軒先まで何度か行っていても、実際に温泉に浸かるのは、これが初めて。何故かというと、狭い4台の駐車場がいつもふさがっているからだったのだ。では、自転車で行こうとも考えたものの、行きはよいよい帰りがこわい。そう、自転車で行くには少し遠いので、この時期なら帰ってくるまでに冷えてしまうし、また、これから暖かくなってくると、帰りに汗びっしょりになってしまう。というわけで、今日は比較的混んではいないだろうという時間帯を見計らってクルマで行ったのである。

到着したのは午後4時頃。十分明るい。案の定、しかし、駐車場はいっぱい。うーむ、この時間帯でもダメか。憧れの恋人の家に行ったはいいが、庭先でオヤジが植木の手入れをしていて、容易に近づけないという図式である。仕方が無いので、近くのセブンイレブンの駐車場にクルマを入れ、待機することにした。そこで時間つぶしにアイスキャンディーを買って、ぶらぶら外をほっつき歩き、ぺろぺろ。鷺沼温泉の高い煙突を見上げる。十年以上も前から、ここに来たい、来たいと思っていたのがやっと現実のものになるのだ。すると、「樋ノ口弁財天」という看板が視界に入った。セブンイレブンの隣だ。そのまた隣は廃材置き場になっている。

この鳥居、背中を丸めて、腰を低くしてくぐらないと、頭をぶつけてしまう。左手奥に見えるのが祠である。
暇だったので、狭い路地風の参道を入って見ることにした。途中で道は90度左に曲がり、そして、そのまた90度曲がったところに小さな祠がある。ミニ神社だ。ま、たいしたことのない神社なのであるが、小さな滝があるし、大きな錦鯉が悠々と泳ぐ池があるし、手入れが行き届いている。どうも私設の神社の雰囲気だ。

境内というより、敷地はちょうど庭付きの家が1軒分という広さだ。前述の通り、セブンイレブンと廃材置き場が隣合わせで、余程のことではないと、このミニ神社の存在には気づかない。仮に気づいていても、わざわざ敷地内に入って参拝しようとは思わないだろう。更にその敷地内には、大通りに面して廃屋になっている焼き鳥販売用の小さい店舗があり、雰囲気を悪くしている。店舗の正面には手書き風の文字で「YAKITORI」と書いてある。その当時は斬新なデザインだとオーナーも自負していたのかもしれない。

しかし、B級観光地、C級観光地の嗅覚が発達している私は、この神社からただならぬ妖気ならぬ、独特の臭気(って言っても悪臭ではない)を感じていた。なにかある。入り口に、この神社の謂われが彫られてある石碑を発見。そう、こんなミニ神社にそういった碑があること事体、不思議なのである。普通は、やたらに難しい文章が書いてあって、読むのが嫌になるか、あるいは、昔、昔のことでした、みたいな神話だったりするものである。だが、そこには、ごくごく一般的な現代文で記されていた。それは以下である。

樋ノ口弁財天の整美について
江戸時代末期から昭和の初めまで この辺り一帯は 樋ノ口と呼ばれ 美しい海辺でした。私の母(中村雪子)の少女時代には 菊田川の流がそそぎ 水車の音が聞え 蜆貝が獲れ 豊かな湧水が村人の生活を助けたそうです。特にこの樋ノ口弁財天の湧水は眼痛に効能があり 大勢の人達が・・・・以下、省略。

まあ、こんな感じであるが、私の母という部分を除けば、一般的な神社の謂われが書いてあるだけである。まだ新しい石碑なので、「私の母」も、「私」も最近の人であることは間違いない。文章の途中を飛ばし、結びの言葉をご紹介すると、「この屋敷の中で生まれ育った私も芸能の世界に進み 今日あるのもそのおかげ・・・」とある。ああ、芸能人なんだ。文章全体を要約すると、芸能人である私が母の恩に感謝の意を込めて、生家の近くにあった樋ノ口弁財天を改修した、ということなのだ。して、その芸能人とは。

”平成7年12月吉日 顧主 改修者 中村晃子”

おっ!あの中村晃子なのか。家に帰って、ネットで調べたら、確かに中村晃子は千葉県出身と公式プロフィールに書いてあった。また、他のページも色々調べたら、この近辺の出身らしい。彼女は私がまだ下の毛も生え揃ってない頃の有名な歌手である。GSサウンドに乗った「虹色の湖」が大ヒットした。歌唱力もいいし、セクシーなボディだった。その後、露出度は極端に減ったが、確か熟女ヌードのブームの頃に、その豊満な肉体を惜しげもなく披露したような記憶がある。いや、そういう記事を読んだような気がするだけで、実際に彼女のヌードは見ていない。

鷺沼温泉の入浴料金表。
さて、話を元に戻す。私はその石碑の前に佇んみ感慨に耽っていた。息子が、「ねえ、早く温泉に行こうよ。」と言ったので、正気に戻った。そうだった、鷺沼温泉に来たのだ。鷺沼温泉の駐車場を見にゆくと、運良く1台分空いている。すかさずセブンイレブンの駐車場に戻り、路地を一周してからその狭い駐車場にクルマを駐めることが出来た。しかし、もうちょっといい駐車場にならないもんかね。

鷺沼温泉は、温泉といっても、建物とかスタイルは昔の銭湯なのである。入ってすぐに番台があって、おばちゃんがいる。料金は大人420円。温泉だったら安いもんだ。いや、でもこれが普通の銭湯の料金だったら、私が二十歳頃に入っていた銭湯は確か120円程度だったから、ずいぶん高くなったもんだ。もっとも、最近では銭湯の利用者が少ないから、このくらいの金額でも維持するのは大変なのだろう。

脱衣場の棚には常連さんのシャンプーとか石鹸などが並んでいて、使えない。脱いだものは籠に入れるのだ。昔ながらの体重計もあって、懐かしい香りがぷんぷんする。因みに、この温泉の効能書きには、”妊産婦・産前産後・慢性リウマチ・神経痛・神経炎・疲労・食欲不振・肩こり・腰痛・便秘・・・以下省略”という具合に長ったらしい文字が並んでいるのだ。「能書きをたれてんじゃねえよ!」という言葉はここから来ているのである。ほんとうか。

レトロな雰囲気の脱衣場。アナログの体重計が懐かしい。
ガラスの引き戸をがらがらっと開けて風呂場に入る。洗い場に1人、浴槽に1名の先客がいた。それほど広くない。古びた感じはするものの、不潔な感じはしない。洗い場は4列で、各5人ずつ。つまり同時に洗い場を使える人数は20人。浴槽は熱いのと、ややぬるいのと2つで、それぞれ5人ずつ入ると満杯になりそうな感じである。私が入っていた阿佐ヶ谷とか東北沢の銭湯から比べるとずいぶんと小ぶりだ。

まずは体を洗い、ぬるいほうの浴槽へ。先に入っていたガテン系(死語?)のおじちゃんが、「熱かったら、そこの蛇口から水を出してうめてもいいよ。」と言ってくれた。常連さんの風格だった。ひと目で私が新参者であることを見抜いていた。「いつも来られてるんですか。」と尋ねると、「そう、毎日ね。」とおじちゃんは言った。できれば、「あたぼうよ!」と言ってもらいたいところだが、ここは江戸ではない。残念。

お湯の色は黒い。それは噂に聞いていたので驚きはしない。ラジウム鉱泉なのである。匂いはない。いや、若干硫黄臭がするかもしれない。湯船に浸かり、手で二の腕を撫でると、心なしか、肌がつるつるになったような感じがあった。あったまる。クルマで来ていなければ、風呂上りにビールをがぶがぶ飲みたいところである。息子に「ほら、肩まで浸かって!」とつい言う。なんか息子が昔の私で、私が私の父になったような気持ちだった。

効能表。右下に損傷があってもお構いなし。
先ほどの常連さんが、「ほら、ここのタイルの絵は凄いでしょ。値打ちもんだよ。」と言った。おそらく新人さんが入ってくる度の常套句なのだ。そう確かに洗い場のタイルの絵も凄いし、湯船の背景の富士山の絵も凄い。凄いというのは、もちろん、素晴らしいというのを通り越しているという表現だ。それよりも、今にも朽ち落ちそうな高い天井が凄かった。

風呂から上がって、セブンイレブンで飲み物を買いぐび飲み。そして、帰宅。さすが温泉、いつまでもいつまでも体がぽっかぽかしていた。また暫くしたら行ってみたい。息子は、「もう行かなくてもいいや。」と言っていた。ちょっと子どもには向いてないかもしれない。レトロ好きにはお薦め。前述の通り駐車場が狭いので、注意が必要だ。近くにコインパーキングが見当たらないので、幕張からだったら自転車を利用するか、京成電車を利用し、京成津田沼駅から歩くなどの方法がベターである。

2008/4/12
(このページは、「しばざ記 443」から流用しました。


写真・左: 板壁に直接描かれたペンキの富士山。こういう絵を眺めながら入る風呂は格別なのである。
ちょっと手前の蛍光灯が邪魔だった。入浴者がいるので、控えめに脱衣場から撮ったので、仕方ない。次回行ったら、ちゃんと撮影してみたい。
写真・右: 国道14号から見た鷺沼温泉の入り口。突き当たりを直角に右折するようになっている。


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